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専属カメラマン、誕生秘話
営業部 営業課 主務 髙橋 祥太
褒められると伸びるタイプだ。カメラが好きになったのも、趣味で撮った車の写真がある賞に入選したのがきっかけ。私の興味は動く車だったが、周りに上手だと言われているうちに、気が付くと色々なものを撮影するようになった。控えめに言って、嫌な気はしない。
「たかはしーー、一眼使える?」
「はい、使えますよ」
「じゃ、お願い」
と、佐々木から新品の一眼レフカメラ一式をいきなり渡されたのは今年3月末のこと。佐々木は当社の取締役であり統括役。わが社のホームページのリニューアルプロジェクト用にこのカメラが導入されたようだ。全くの他人事だったが、佐々木にロックオンされたと気が付くまで大して時間を要さなかった。
最初のミッションはブルーインパルス。エスコンフィールドのオープニングセレモニーを彩るブルーインパルスを撮影せよ、と。まあ、動く物体という意味では興味の範疇にあるが、上を向いて撮影するテクニックなど有していない。でもやるしかない。飛行時間に間に合うように営業先から早めに戻り、社屋の屋根に上がり、撮りに撮りまくった。
それを皮切りに、入社式、新年度方針発表会など様々な行事でも声がかかるようになった。私が撮りたいのは動く車なのだ。しかし、私が撮った人物や社屋などの写真を、社内のみんなが「すごい!」「プロみたい!!」と褒めてくれる。制作会社の人まで驚いたとのこと。そんなこんなで、今回のホームページに使われた写真の半分近くは私の作品。控えめに言って、悪い気はしない。
いつの間にか私には環境開発工業の専属カメラマン、紀信先生などの呼称が付き、会社所有の一眼レフは今や私の相棒だ。いつの間にか本当にプロか?みたいな矜持まで出てきた。それが周りに気がつかれたのか、要求される撮影の難易度も急激に上がってきた。
中で最も難易度が高かったのは「ドラムのフタ」である。何の変哲もないただの円形の黒い物体。躍動感もなければ、見た目に「なにこれ?」レベル。さて、これをどう撮るか。
まず考え得るあらゆる方向と角度から「ドラムのフタ」をファインダー越しに眺めた。いったいこれは何なのか、どんな役割があるのか、なにを伝えたいのかを考えながら丁寧に観察する。はた目には「ドラムのフタ相手に先生何やってんだろ。早く撮ればよいのに。」と言われそうなのだが、この段取りを怠りその場しのぎにシャッターを切っても何も伝わらない、ただのプラの塊が撮れるだけだ。ふと「こうかな」というものが降りてきて、そこから撮影を始める。そこからも試行錯誤し、その結果がこれである。
自分で自分の殻を破ることは意外に難しい。しかし人から求められ、褒められ、認められると、最後はドラムのフタの撮影技術まで習得できるらしい。まあ…この技術が再度役に立つ日がくるか否か不明だが、いずれにせよ環境開発工業という会社はこういう会社だ。控えめに言って、嫌いではない。